てくてく工房一級建築士事務所の最新ニュース記事・新着情報。旬彩処暁さんのお座敷が掘りごたつになりました。 (2022-05-10)について

旬彩処暁さんのお座敷が掘りごたつになりました。

竣工から4年が経過した「旬彩処暁」さんのお座敷ですが、お客さまからのご要望が多かったということで掘りごたつに変更されました。

既存のテーブルは実は工夫を施した特注品だったのですが、今回の変更に伴い脚部のデザインや高さを変更して造り直すことになりました。

簡単に見えるようで色々と配慮している部分をご紹介します。

まず、足元が寒くないように床暖房が装備されています。
掘りごたつの床面は一般的にはカーペット敷のところが多いようですが、今回は重量のあるテーブルを都度移動するために滑りをよくする目的で、清掃のしやすいフローリングを選定しています。
そのため足元が冷たくなりがちな点を考慮して床暖房を採用されました。

次にこたつの段差部分に設ける框です。
飲食店の掘りごたつはテーブル移動を行う場合は四つ足で框の上に足を載せる形式にされていることが多いですが、四つ足のテーブルは丁度脚が来る部分に人が座ることが難しく邪魔になり、また足を載せる部分にも段差ができてしまいます。

こちらのお店では、間仕切りを外して広間にした場合にテーブルを中央に寄せてたくさんの人が座れるように、そもそも四つ足ではなく中央部に脚を設けるデザインにしていました。
テーブルを大き目にすることで中央に寄せた時に一人余分に座れるスペースが生まれることを、テーブルの脚のせいで台無しにしないためです。
さらに言えば、「お誕生席」部分にも座りやすい構造になっています。

ところがここで問題になるのが、テーブルをあちこちに移動した時に同時に動かさなければならない「渡り板」をどうするか?ということ。
渡り板は框に落し込まなければならず、結局その部分だけ段差ができてしまうではないか!ということで、ここでも工夫が必要です。
框の一部(渡り板が来るところだけ)を脱着式の框にすることで、
どの部分にも框の段差ができず、座った時に太ももの下をゴリゴリするものがなくなるのです。

かなりマニアックで、言われてもよくわからないような細かい部分なのですが、設計をしている人ならなるほど!と気づいて頂けるのではないかと思います。

設計とは、小さな工夫の積み重ね…
そう思いながら日々の仕事に取り組む設計士なのでした。

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