てくてく工房一級建築士事務所の最新ニュース記事・新着情報。M様邸リノベーション工事が進んでいます。 (2020-05-16)について

M様邸リノベーション工事が進んでいます。

たまたまですが、エンドレスな基本設計の日々が続くあまり、更新をさぼりすぎて1年が経とうとしていました…。
というわけで、久しぶりに楽しい現場のご報告です。

2月に着工した佐賀県のM様邸リノベーション工事は、只今耐震補強工事の真っただ中です。
covid-19による緊急事態のため大幅に工事に遅れが出ているのですが、お施主様には寛大なご理解を賜りまして、少しずつ工事を進めさせて頂いております。

こちらの建物は新耐震基準で建てられた為、公的補助金は受けられないのですが、耐震診断を実施したところ非常に危険な状態であることが分かり、世代交代で住み継がれるのを機にリフォームを兼ねて耐震補強を実施されることになりました。
設計では、ご要望になるべく合致する間取りで、かつ耐震性能を向上させられるよう配慮してプランを進めて参りました。
所謂日本家屋の造りで開口部が多く、パネル工法という特殊な工法で建てられた建物なので、耐震補強の設計も施工も非常に複雑な手間をかけなければならない難しい現場です。

そして解体してみてびっくり!なことが多々ありました。
そのダントツ1位がこちら、写真1枚目。
中央の柱がコンクリートブロックの上で止まっています。
浴室回りの防水のためコンクリートブロックを基礎上に積むことはよくあるのですが、この柱は「通し柱」という非常に重要な柱で、決してこのように半端に切断してはならないのです。

これはしっかり補強しなければ、というわけで、写真2枚目の中央の柱のように正しい形になったわけですが、通し柱は抜くことが不可能な為、特殊な伝統技術を使う必要があります。
1本の柱に見えるこの柱、写真3枚目をよく見ると継ぎ手があるのがわかります。
「金輪継ぎ」という技術です。
大工さんにとっては滅多にやらない手間のかかる仕事で大変だったと思いますが、非常に素晴らしい出来栄えで十分な耐力を発揮してくれる立派な柱に蘇りました。

家は、大切な財産であり思い出です。
先祖の残してくれた家を大切に住み継いでいかれるお施主様のために、伝統的な技術が役立つことで、同じように貴重な技術が受け継いでいかれることに、大きな喜びを感じた1日でした。

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